刈谷技術センター 安田センター長 対談
個と組織の力で未来を拓く
-刈谷技術センターの挑戦と成長-
-刈谷技術センターの挑戦と成長-
「多様な業務経験と教え合いの文化で、組織全体の力を高める」
そんな言葉がぴったりの刈谷技術センター。
今回は、センター長の安田さんに、刈谷技術センターの仕事や組織の魅力について、じっくりとお話を伺いました。
技術センターの役割と製品
萱嶋:まずは、刈谷技術センターについて教えてください。扱っている製品や、仕事内容や組織について教えてください。
安田: 刈谷技術センターは、豊田自動織機さんの刈谷工場でカーエアコン用コンプレッサーの設計・評価を行っています。
コンプレッサーは普段あまり目にすることはないと思いますが、車内を快適に保つカーエアコンの心臓部にあたり、小型・軽量・低燃費などの環境性能、信頼性など独自の技術力で世界をリードしています。トヨタ車だけでなく、国内外の多くのカーメーカーに採用されており、世界トップシェアを誇る製品です。
現在刈谷技術センターでは約40名のメンバーが在席し、世界トップシェア製品を支えています。
萱嶋:世界トップシェアを支える現場って、すごく誇りを感じますね。どんな組織構成なんでしょうか。
安田:組織は3室構成で、派遣就業が2室、請負就業が1室です。業務領域は派遣就業は「設計・解析」「試験評価・品質保証」で請負就業は「設計」とそれぞれグループに分かれています。
メンバー同士が協力しながら、時には切磋琢磨し合い、より良いものづくりを目指して業務を進めています。
萱嶋: 設計から評価、品質保証まで一貫して対応できる体制なんですね。世界トップシェアの製品に関わることで、他の仕事と比べてどんな違いがありますか?
安田:安田:一番の違いは、豊田自動織機さんの他事業部と比較し、カーメーカーさんとのやり取りが一番に多いことです。
カーメーカーさんとの直接のやりとりは豊田自動織機さんが担当しますが、他の事業部だとトヨタ自動車さんの車で限定されていたり、フォークリフトの場合は社内カンパニーのトヨタL&Fとのやりとりになるのですが、刈谷技術センターのコンプレッサ事業部さんでは、国内のほとんどのカーメーカー、さらに海外のカーメーカーとも幅広くやり取りしています。ここが他の事業部との大きな違いですね。
萱嶋:色々なカーメーカーと関わっているんですね。最近は、エアコンがない車なんて世界中でほとんどありませんよね。
車といっても、ガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、EVなど種類もさまざまです。
そうなると、コンプレッサーもかなり種類が多そうですが、実際どれくらいあるんですか?
安田: 大きく分けると「ベルト駆動式」と「電動式」の2種類です。ベルト式はエンジンと一緒に動くタイプで、電動式はモーターとインバーターで駆動します。細かい仕様の違いで何百種類もありますね。
萱嶋: そんなに種類があるんですか?
安田: はい、車種やエンジンの種類、取り付け位置によって必要な容量や形状が変わるんです。例えば、同じコンプレッサーでも圧縮する容量が違えば種類が多くなります。
萱嶋: 電動式はこれから伸びる分野ですよね?
安田: その通りです。ハイブリッドやEVでは、エンジンが止まっていてもエアコンが動かないと困りますよね。そのため電動コンプレッサーは必須です。さらに、カーボンニュートラルの流れで電気自動車が急増しているので、電動式の需要はますます高まっています。
萱嶋: それはすごい数ですね。それを豊田自動織機さんと一緒になって設計・評価しているということですね。
色々対応するのが大変ですね、種類を覚えるだけでも…
安田: そうですね、全部の種類を空で言える人は豊田自動織機さんの社員でもいないと思います。
萱嶋: なるほどね、そうですよね、中には滅多に出てこない仕様もあるんでしょうね。
安田: ええ、あります。中には古い仕様も残っていて、ベルト駆動式のコンプレッサーでは、設計変更が入った際に手書き図面の時代のものが出てくることもあります。そういう古い図面を扱うことで、技術の進化を実感できるのも面白いところです。
萱嶋: 古い図面に触れることで進化を感じられるなんて、エンジニアとしてはワクワクしますね。
電動化時代に求められる設計力
萱嶋: 設計の話になりますが、刈谷技術センターでは新しい設計をゼロから行っているのでしょうか。それとも、既存のものをベースに改良したり、仕様に合わせて部品を変えて種類を増やすような業務が中心ですか?
安田: 基本的には、すでにある程度開発された製品をベースに、カーメーカーさんの要望に応える形で設計を進めます。
例えば、取り付け位置や配管のレイアウトは車によって変わるので、その調整を行います。内部構造は豊田自動織機さんが開発したものを使いますが、TJEでは、取付部の配置や配管などの搭載検討・単品強度解析などやコンプレッサの容量計算を行い、『この条件で成り立つか』を判断します。
電動コンプレッサーだと制御基板がありますので、その外装部の構造検討をしたり、コンプレッサー全体での構造解析などについては専門のCAE解析グループの方で解析を行ったりしますが、こうした設計に必要な技術的検討を担っています。
萱嶋: 刈谷技術センターは、豊田自動織機さんの中で重要な役割を担っているんですね。
安田: そうですね。豊田自動織機さんからの信頼に応えられるよう、日々努力を重ねています。
萱嶋:そうすると、豊田自動織機さんとの仕事を進める中で、どういった仕事の流れになっているのでしょうか。
安田:基本的に、コンプレッサーの仕様に関するやり取りは豊田自動織機さんが担当します。
カーエアコンですのでカーエアコンシステムとしてはデンソーさんになり、デンソーさんとの調整も豊田自動織機さんの社員が行います。最終的にはカーメーカーさんに仕様が渡ります。カーメーカーさんから「こういう仕様でやりたい」という要望が降りてきて、その仕様が本当に成り立つかを私たちが検討します。
場合によっては「この条件では難しいので、こう変えませんか?」と提案することもあります。こうしたやり取りを経て、最終的にカーメーカーさんに戻していく流れです。
萱嶋:新規開発や窓口は豊田自動織機さんが対応されるにしろ、搭載検討の実務の部分はTJEがかなり担っているんですね。
安田: すべてではありませんが、かなりの割合を任せていただいています。特に電動コンプレッサーは、TJEのメンバーが深く関わっていて、重要な役割を担っています。
萱嶋: 電動コンプレッサーは、これからますます伸びる分野ですよね。ちなみに、電動というのはモーターで駆動するタイプですか?
安田:そうです。モーターとインバーターで制御し、電極のコネクタを通して電気を流す仕組みです。
萱嶋: 最近はハイブリッドやEVが増えていますし、重要な技術ですね。
安田: その通りです。エンジン停止中でもエアコンが動かないと困りますし、カーボンニュートラルの流れで電動化は加速しています。私たちもその変化に対応するため、日々新しい知識を吸収しながら取り組んでいます。
萱嶋: エンジンルームって部品がぎっしり詰まっていますよね。設置は難しくないですか?
安田: 難しいですね。エンジンや他の配管を避けながら、限られたスペースに収める必要があります。1/100ミリ単位で調整することもあります。
萱嶋: 電動なら場所の自由度が高いんじゃないですか?
安田: そう思われがちですが、自動車内の配管や他部品との兼ね合いがあるので、どうしてもエンジンルーム内に収めることになります。
萱嶋: そうなると、コンプレッサーだけ知っていれば仕事ができるわけじゃなくて、車の構造やエンジンなど他の部品の関係やレイアウト上の制約条件もすべて理解したうえで進める必要があるんですね。
安田: 理想はそうですが、カーメーカーさんによっては情報が限られていて、「この中に入れてください」という指示だけの場合もあります。本来は車全体の情報を把握していることが望ましいですが、そうした条件の中でも「このエリア内に収める」という制約を守りながら、最適な設計を提案しています。
萱嶋: 頂いている情報に合わせて柔軟に対応しているのですね。よくわかりました。これから成長する電動コンプレッサーの分野に携われるのは、大きなやりがいにつながりますね!
品質と信頼を支える試験評価と品質保証
萱嶋:次に評価業務について教えてください。評価ってどんな仕事をしているのですか?
安田:TJEメンバーでは作動耐久試験や振動耐久試験が多いです。ベンチ試験機の上にコンプレッサーを置いて稼働しながらどれくらい耐えられるか、などをやっています。
豊田自動織機さんの刈谷工場だけでなく、安城工場の方にもコンプレッサー技術部さんの拠点があるのですが、派遣メンバーの業務では、安城工場側の評価の人たちに依頼を出す業務も担当しています。
萱嶋:管理業務もあるのですね。評価業務はどのあたりが難しいのですか?
安田:試験条件の設定などで特に、先ほどお伝えした色々なカーメーカーさんのコンプレッサへの要求条件が様々なので、それのニーズに合わせた評価をしないといけません。
同じようなコンプレッサーでも条件が異なったり、条件を出すための圧縮の圧のかけ方でも状況が違っていたり、その設定が非常に難しく、かなりのベテランでないと独り立ちが難しいんです。
そこはもう4年、5年実務を経験し、試験中のリターンで返ってくる状況を見て試験機の設定を変えて、試験機によって圧を変えたり、液を流す流量を変えたり。
現場でしっかり状況を見ながらじゃないとできない。熟練でないとやりすぎてしまい最悪はコンプレッサーを壊してしまって廃棄になってしまうこともあります。そういった状況を見極め条件を出すことも難しいところです。
萱嶋:試験評価もノウハウだらけ、経験値がものを言うところなんですね。結構大変なんですね。
安田:年々カーメーカーさんの要求精度が上がってきており、以前から使用しているベンチ試験機では、適した評価ができなかったりするため、新しい試験機を導入し試験を行うことがあります。その場合はベンチ試験機の使い方を一から覚えないといけないです。
萱嶋:なるほど。新しい試験機をまた勉強して、新しい評価方法などもレベルアップしていかないといけないのですね。
安田:そうです。常に学びの日々で、仕組みを理解し実際に試しながら知識を積み重ねていく必要があります。
もちろん、簡単なことばかりではなく苦労もありますが、楽しみながら挑戦し続けることが、私たちの成長にもつながると考えています。
萱嶋:組織には品質保証もあるとのことですが、品質保証メンバーはどのような業務を担当しているのでしょうか。
安田:品質保証では量産前の検査法を決めるなど、製品の信頼性を守る重要な役割も担っています。
萱嶋:検査方法の策定は製品の安全性や信頼性を確保するうえで欠かせない業務ですね。
同じ刈谷技術センター内で試験評価と品質保証を担当していることで、情報共有しながら知識や技術力を底上げできるのは大きな強みだと思います。ありがとうございます。
職場の雰囲気と環境
萱嶋: 職場の雰囲気について教えてください。
話を聞いていると、豊田自動織機さんとTJEが車の両輪のような関係だと感じます。そんな中で、今回は請負チームについて詳しく知りたいのですが、人間関係や仕事の進め方はどんな感じですか?
安田: 請負チームは、電動コンプレッサーのレイアウトを検討するメンバー、インバーターやコネクタの配置を考えるメンバー、図面作成を担当するメンバー、そしてベルト式コンプレッサを扱うメンバーの4つのグループに分かれています。
ただ、仕事量に波があるので「どれもやれるように」という考え方で、マルチスキルを身につける取り組みをしています。
最終的な理想は「全員が全部できること」ですが、そこを目指しながら、メンバー同士で教え合い、協力しながら業務を進めています。
萱嶋:他の業務を経験すると相手の苦労を理解できて、助け合いの精神が生まれそうですね。いい関係ですね。
安田: そうですね。自然と協力し合う雰囲気があります。
萱嶋:先ほどマルチな人間を作っていくということを聞かせてもらったのですが、教育面など他にどんな取り組みがありますか?
安田: 特別なOJTというより、日常的に先輩や周囲が教え合う文化があります。教育係は設定していますが、業務を依頼する際にも「こうした方が効率的だよ」と一緒に考えるスタイルです。わからないことがあれば誰にでも聞けますし、「この人が詳しいよ」と紹介してもらえるので安心です。
萱嶋:教育係からも他の先輩社員からも吸収できるのですね、それはいいですね。
例えばローテーションというのは、1年ごとに実施するなど期間を定めて実施しているのか、それともセンター長が適性を見て、そろそろあっちをやらせてみようか、などどうやって決めているのでしょうか。
安田: 部署やチームは変えず、業務の状況を見て「この方ならできそうだからやらせてみよう」と判断します。納期が長い案件ならあえてチャレンジさせてみよう、ということもあります。
萱嶋:先ほど色々な製品の種類があると伺いましたが、一通りできるようになるにはどれくらいかかりますか?
安田: 1年くらいで基本的なことは覚えられますが、無茶な仕事は振りません。各リーダーが業務を割り振りを行っているため、難易度や適性を見ながら、無理のない範囲で仕事を任せています。3~5年で幅広い経験を積み、成長を実感できる時期です。
萱嶋: その間に、請負就業から派遣就業に移ることもあるんですか?
安田: はい。派遣就業で入ると豊田自動織機さんの中で業務を携わることで最新情報を得られるので、本来はそこで勉強するのが理想です。ただ、即戦力が求められるので、まず請負就業で経験を積み、その後派遣就業でさらにスキルを高める流れを考えています。
萱嶋:なるほど。3~5年でしっかり経験を積めるのは魅力ですね。一通り理解したうえで派遣に行けば、即戦力として活躍できますし、本人にとっても成長のチャンスになりますね。
経験を重ねることで吸収力が高くなっているのも心強いです。そうやって人材育成を進めているのは、とても頼もしいですね。
コミュニケーションと働き方
萱嶋:業務以外で、コミュニケーション活動は何かありますか?
安田: 請負職場では、3か月から半年に一度、親睦会を開いています。刈谷技術センター全体では、派遣メンバーは業務都合で予定が合わないこともありますし、もちろんプライベートを大切にする人も多いので、全体的な会は少なめかもしれません。
また、メンバーとのつながりを大切にするため、月1回を目安にコミュニケーション面談を行っています。
強制ではなく、本人の希望を聞いてペースを決め、最低でも半年に一度は必ず話す機会を設けています。内容は「最近の調子はどう?」といった雑談から業務の相談まで自由。安心して話せる場づくりを心掛けています。
萱嶋:面談を定期的に行っているのは素晴らしいですね。雑談も含めて気軽に話せる場があることで、メンバーの安心感や信頼関係が深まると思います。
親睦会については、どなたが企画するのですか?
安田: みんなで集まる場を企画するのが好きな方がいて、その方が中心になっています。ただ、モットーとしては強制参加ではなく、有志で気軽に集まるスタイルです。
萱嶋: 開催場所はどのあたりですか?
安田: 刈谷駅周辺が多いですね。お店もたくさんあって便利ですし、歩いて行ける距離なので好評です。
萱嶋: いいですね。通勤はどうですか?
安田: 電車通勤の人が半分くらいいます。JRと名鉄の両方が使えるので便利ですし、豊田自動織機さんの送迎バスも利用できます。健康のために歩いて通勤する人もいます。
萱嶋: 健康のため歩くのもよいかもしれませんね。ところで、今は忙しい時期ですか?
安田: 時期によりますが、今は新規開発に豊田自動織機さんが人を割いているため、私たちの業務内容は変わらないのですが、依頼を受けている業務量が増えています。
萱嶋:そうなんですね。それは大変かもしれませんが、キャリアアップのチャンスでもありますね。
業務拡大や個人の成長につながる機会になっているということですね。
安田: はい、その通りです。忙しい時期もありますが、その分、さまざまな案件に関わることで経験値が増えますし、スキルアップのチャンスにもなります。チームで協力しながら乗り越えることで、個人の成長だけでなく、組織としても新しい領域に挑戦できる良い機会になっています。
萱嶋: 現在忙しい時期ということですが、残業時間はどのくらいですか?
休日出勤もされるのでしょうか。
安田: 人によって差はありますが、平均で月30時間ほどです。刈谷技術センターでは休日出勤は全くありません。
萱嶋:一日当たりだと1.5時間ほどですね。皆さんフレックス制度や在宅勤務は利用できますか?
安田: はい、フレックス制度を使えますし、在宅勤務もかなり多いです。CADがクラウド上にあるので、自宅でも職場と同じスピードで作業できます。設計メンバーは特に在宅勤務を活用しています。
萱嶋: 在宅勤務は自由に選べるのですか?
安田:完全に自由というわけではなく、事前に上司への申請が必要です。ただ、週に数回は出社していただくルールになっています。
萱嶋:ルールに乗っ取った形での在宅勤務ですね。
安田:はい。とはいえ、子育て世代も多いので、お子さんの送迎で一時的に離席して再開するなど、柔軟に対応できる環境です。家庭の事情に理解がある職場だと思います。
萱嶋: 通勤時間を減らせるのは大きいですね。働きやすい制度だと思います。
安田: そうですね。評価業務は試験機を扱うため難しいですが、メンバーによっては報告書をまとめたりする時に在宅勤務を行うことはあります。設計メンバーは在宅勤務を積極的に取り入れています。集中して作業できるので、効率が上がるという声もあります。
萱嶋:働きやすい制度があることで、安心してキャリアを築きながら生活とのバランスも取れる環境ですね。
働きやすさと利便性を兼ね備えた職場環境
萱嶋:先ほど子育て世代という話が出ましたが、やはり職場の雰囲気もプライベートを大切にする感じなのですか?
安田:そうですね、全部が全部というわけではありませんが、請負職場に関しては基本的にプライベートを尊重する雰囲気があります。
もちろん納期はありますので、そこを無視して帰るというわけにはいきませんが、無理な残業は少ないです。派遣先によっても異なりますが、豊田自動織機さん側もプライベートを重視される方が多いので、比較的働きやすい環境だと思います。
萱嶋:豊田自動織機さんを含め、そういった雰囲気があるのは安心ですね。
萱嶋:ちょっと話は変わりますが、事務所の雰囲気ってどんな感じなんですか?大きな事務所で人がたくさんいるようなイメージでしょうか。
安田:そうですね、1フロアに400~500人ほどいると思います。請負の場所だと14人くらいが座れるように長机が並んでいて、入口から見ると人がずらっと並んでいて圧巻です。もちろん柱などで区切りはありますが、広い空間ですので見ると圧巻だと思います。
萱嶋:すごいですね!皆さんの席は固定なのでしょうか。
安田:はい、現在は固定席です。
萱嶋:ところで、今は豊田自動織機さんの各工場でリノベーションを進めていますよね。刈谷の工場はどうですか?
安田:刈谷の技術部フロアではカフェエリアができています。打ち合わせ用の机が並んでいて、その横に自由に座れるスペースや飲み物・お菓子の自販機があります。カフェエリアの区切りはガラス張りで開放感があり、昼休みの休憩やちょっとした打ち合わせに使われています。
萱嶋:カフェエリアは豊田自動織機さんの社員だけでなく、誰でも気軽に使えるんですね。
そういえば、食堂も新しくなり、コンビニも入ったと聞きました。コンビニの評判はどうですか?
安田:とても好評です。コンビニ払いなど、以前は会社帰りに寄らないといけなかったことが、その場でできるようになりました。品ぞろえも豊富で、朝利用する人が多いですね。食堂もリニューアルされてメニューが充実していて、利用しやすくなっています。
萱嶋:確かにコンビニ払いは便利ですね。設備が充実していて、働きやすい職場環境ですね。
将来の展望と人材育成
萱嶋:刈谷技術センターとして、今後どんな方向を目指しているのか教えてください。
安田: やはり電動コンプレッサーの需要がこれからどんどん増えていく流れです。もちろん、ベルト式も安価な車や新興国向けではまだまだ必要ですが、今後は電動が主流になっていきます。
豊田自動織機さんも人員を増やしていて、電動関連の新規開発も進んでいます。刈谷技術センターとしては、そうした電動関連の業務をもっと増やしていきたいですね。
将来的には、号口の電動コンプレッサーは全部TJEで対応できるようになることを目標にしています。
萱嶋: そのために、今どんなことに力を入れているんですか?
安田: やはり「人」です。人材育成ですね。
TJEの中核メンバーはいますが、もっと人を増やしていき、教育していく。刈谷技術センターが一括で対応できる体制を作ることが必要です。仕事はまだまだ伸びていくと思うので、その成長に追いつけるように、新しい人を入れて育てていくことが大事です。
ベテランがしっかり教えられる環境を整えることも重要ですし、ワークシェアで誰でも教えられる仕組みを作っているのもそのためです。
萱嶋:私の経験上からいくと、教えるってすごく教える方も勉強になりますよね。ただし教えるって大変じゃないですか。
安田:本当にそうですよね。思っている以上に大変だと思います。
萱嶋:教える方も、時間的にも事前に自分で色々勉強しないといけない部分もありますし、どうやったら分かりやすく伝えられるか考える時間も必要です。事前準備も必要ですし。
そこは皆さん理解されているのですか?
安田:理解して頂いていると私は思っています。いわゆる教えるための手順書も常に作ったり、常に最新に更新するようにしていますし、教えるときの心構えも大事です。私はよく「わが子を教えるように接してみてください」って話します。子育て世代が多いので、この言葉は響くんですよ。「落ち着いて教えられるようになった」という声もあります。そういうところも大事にしています。
豊田綱領の『温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし』という言葉に通じる部分があると感じています。
萱嶋:なるほど、そういう考え方が浸透しているんですね。時間をかけても大事なことだと思いますし、いずれ自分にも返ってきますよね。
萱嶋:さらに教育の話ですが、NE推進センターという教育を中心に推進する部署が新しくできましたよね。そことの関係性はどうですか?
新しく取り組んだり、既に進めている取り組みはあるのでしょうか。
安田:既に進めている取り組みがあります。新卒やキャリア入社後の教育期間の後半に、配属予定先の教育をする期間があるのですが、刈谷技術センターでは請負職場のベテランメンバーが直接研修室に行き、業務に即した研修を実施しています。まずCADの操作を覚えていただく必要があるので、OJTを前倒しで行っています。
萱嶋:刈谷技術センターに配属される人が対象なんですね。
安田:そうです。実際の製品図面を使って、機密情報に配慮しながら参考例を見せて進めます。今年の新卒研修では、1日かけてじっくり教え、残りの日数は宿題として取り組んでもらいました。その上で配属していただいたので、『本当にこういう仕事をするんだ』と実感してもらえました。早めに戦力化するための教育を実施しています。
萱嶋:では、数時間教えるだけではなく、それなりに一通り経験するという感じでしょうか。
安田:はい、1日かけてしっかり教え、宿題も出して、実務に近い流れを体験してもらいます。座学だけでなく、実際の図面を扱うことで、配属後の不安を減らし、スムーズに仕事に入れるようにしています。
萱嶋:配属後に『何をやるんだろう?』と全くわからない状態ではなく、事前に実務を体験できるのは新入社員にとって大きな安心ですね。早めの戦力化につながる素晴らしい取り組みだと思います。
こうした教育に力を入れている職場は、成長したい人にとって理想的な環境ですね。
最後に・・「刈谷技術センターの魅力」とは
萱嶋:では最後に、エンジニアとして活躍を目指す方に向けて、刈谷技術センターの魅力を教えてください!
安田: 刈谷技術センターは、カーエアコン用コンプレッサーの設計・評価を担い、世界トップシェア製品を支える重要な拠点です。電動化の進展に伴い、私たちの仕事はますます広がり、最先端の技術に触れながら成長できる環境があります。
魅力の一つは、自分が関わった設計が実際の車に搭載され、世界中で活躍する姿を見られること。「自分の仕事が社会に貢献している」と実感できる瞬間は、ものづくりの醍醐味です。
さらに、豊田自動織機さんと密に連携しながら業務を進めることで、幅広い知識を吸収し、エンジニアとしてのスキルを磨けます。教育体制も充実しており、OJTや業務ローテーションに加え、メンバー同士が自然に教え合う文化が根付いているため、安心して成長できます。
そして、私が一番伝えたいのは「働きやすさ」です。フレックス制度や在宅勤務の活用に加え、業務量を調整しながら、無理のない働き方を実現できる仕組みがあります。豊田自動織機さんを含め、家庭やプライベートを大切にできる職場だからこそ、長期的にキャリアを築ける環境です。
個と組織の力で未来を拓く挑戦に興味がある方、ぜひ刈谷技術センターで一緒に成長し、世界に誇れるものづくりを支えていきましょう!
萱嶋: 今日はありがとうございました。
私も改めて刈谷技術センターの強みや働きやすさを深く知ることができて、とても充実した時間でした!