長草技術センター 神澤センター長 対談
技術でクルマの未来を形にする
-長草技術センターの専門性と挑戦-
-長草技術センターの専門性と挑戦-
「信頼に応える技術、未来を託される存在へ」
そんな言葉がぴったりの長草技術センター。
今回は、センター長の神澤さんに、長草技術センターの仕事や組織の魅力について、じっくりとお話を伺いました。
技術センターの役割と製品
萱嶋:まずは長草技術センターの全体像から教えてください。
長草技術センターは、どんな車種に関わって、どんな役割を担っているのでしょうか。
神澤:長草技術センターは、RAV4やハリアーといったトヨタの主力SUVを中心に、新規開発車両の「設計」「解析・実験」「号口管理(量産後の不具合対応など)」「図面管理」「生産技術(物流)」まで幅広く担当しています。
車づくりの一連の流れに深く関われるのが特徴です。
萱嶋:幅広いですね!
RAV4は昨年末、2025年12月に新型が出ましたよね。
TJEのエンジニアメンバーはどのくらい関わったのでしょうか。
神澤:RAV4には長草メンバーの36名ほぼ全員が関わりました。
RAV4は「車両受託契約」で、つまり長草で生産する前提の車種です。
もし設計が不十分だと生産が止まるリスクもあります。だから責任の重さが段違いなんです。
ここは豊田自動織機さんもTJEも同じ覚悟で臨んでいます。
萱嶋:長草技術センターのメンバーほぼ全員ですか? そこまで総力戦だったとは正直驚きました。
「車両受託」とよく対で出てくる「個別受託」って、一般の方にはちょっと分かりづらいかもしれません。
ざっくりいうと、どう違うのでしょうか。
神澤:「個別受託」は長草で生産しない車の設計や車両の一部を受託する形です。
たとえば海外向けの車種などがそれにあたります。
萱嶋:つまり、どちらを受託するかはトヨタ自動車さんと豊田自動織機さんの関係で決まるということですね。
そして車両受託になると、設計だけでなく後工程まで関わりが広がっていく。
その中で、RAV4は設計・性能確保・生産まで一貫して担う車種というわけなんですね。
神澤:はい。RAV4は「車両受託」なので、高岡工場・長草工場・カナダ工場を中心に、中国の工場も含めた複数拠点で生産されています。
萱嶋:今は複数の車種が同時進行で動いていると思いますが、RAV4以外はどんな進み方になるのでしょう?
神澤:複数車種が一斉に動くというわけではなく、五月雨式に時期が重なりながら進むイメージです。
流れとしては、まずRAV4 → ハリアー →別車種の順で進みました。
また、RAV4より前に受託していた車種もあり、開発期間が一時的に重なることもありました。
萱嶋:そういった流れなのですね。
「個別受託」でもアッパーボデーを担当するんですか?
神澤:はい、アッパーボデーは基本担当します。
インパネ部のみという特別な受け方をした車種もあります。
萱嶋:車種ごとに担当範囲が異なるケースもあるんですね。
では、その上で改めて伺いたいのですが、TJEは具体的に車のどの部分まで担当しているのでしょうか。
神澤:アッパーボデー、つまりフロア(床)から上の部分を前から後ろまで担当しています。
エンジンやサスペンションといった足回りはトヨタ自動車さんが担当ですが、それ以外は豊田自動織機さんが担っています。
アッパーボデーは見た目・快適性・安全性のすべてに直結する領域なので、設計の腕が最も問われる部分でもあります。
萱嶋:なるほど、アッパーボデーを任されているというのは、かなり大きな役割なのですね。
複数の生産拠点で作るとなると、要件調整も大変そうですね。コミュニケーションはどう進めているのでしょうか。
神澤:RAV4の場合、母体は高岡工場で、そこに長草とカナダ拠点が加わります。
基本はTeamsで生産技術要件をすり合わせながら、どの工場でも同じ品質で作れるように設計を最適化していきます。
萱嶋:ここまで聞いただけでも、長草技術センターが車づくりの「ど真ん中」で幅広い領域を任されていることがよく分かります。
では、実際の設計の現場ではどんな仕事が行われているのでしょうか。
次はそのあたりを聞かせてください。
デザインを“カタチ”にする設計プロセス
萱嶋:設計の仕事は、デザイナーが描いたスケッチを【そのまま走れるクルマの形】にしていくイメージがあります。
実際のプロセスはどのように進むのでしょうか。
神澤:まず最初に、トヨタの製品企画(Z)が「誰に、どんな価値を届けるクルマにするか」という方向性を決めます。
たとえば「都市型SUV」「20〜30代がメインユーザー」といったターゲット設定ですね。
そこからデザイナーがスケッチ → クレイモデル → CADデータ(CATIA)へと形をつくっていきます。
僕たち設計の役割は、その意匠データをできるだけ崩さずに、実際に量産できる形に仕立てていくことです。
ここはとても難しくもありますが、その分やりがいを感じられる領域であり、一番メインとなる業務です。
というのも、法規や衝突安全、機能、材料・コスト、組付け性など、さまざまな現実条件をすべて満たしながら、デザインを成立させる必要があるからです。
車というのは1台で約3万点もの部品から構成されており、部品同士の干渉や、量産時のばらつき、耐久、安全など、考える要素は本当に多いんです。
だからこそ、「どうすればデザインを崩さずに実現できるか」が設計者の腕の見せどころになります。
萱嶋:なるほど…現実の制約とデザインの理想を両立させる業務なんですね。
やはりデザイン通りにはいかないこともあるのでしょうか。
神澤:あります。たとえば歩行者保護(外突)やシート可動域など、どうしても安全上クリアしないといけない要件がある場合は、「デザインコメント」という形でデザイナーへ調整をお願いすることがあります。
ただ、すべてを100点でやろうとすると成り立たないので、「絶対に守るところ」と「70点で良いところ」の見極めが大切なんです。
萱嶋:ちょうどそこを聞こうと思っていました。
作りやコスト、安全性とかを考えていくと、「ここはもうちょっと無理だよね」っていう場面も多いと思うんです。
逆に、設計側からデザイナーに『デザインを変えてほしい』とお願いすることもあるのかなと思って。
神澤:はい、もちろんあります。
設計者の視点で「このままだと安全基準や法規を満たせない」「量産するときにばらつきが出てしまう」という場合は、こちらからデザインの調整を提案します。
ただ、その際も「意匠できる限り守りつつ、設計側から性能・要件を満足かつ意匠がかっこよくなるように」を考えて提案します。ここも設計者の腕の見せどころですね。
萱嶋:デザイナーの想いを尊重しつつ、現実と折り合いをつけてクルマを成立させる。
なるほど…まさに【デザインをカタチにしていく設計】という感じですね。
神澤:本当にそうです。デザインを壊さずに商品化できたクルマは、やっぱり売れるんです。
ハリアーもそうでしたし、街で自分が関わったクルマを見かけたときは、やってきてよかったと心から思います。
TJEにしか生み出せない価値
萱嶋:デザインをカタチにしていくお話、とてもよくわかりました!
次に、そうした設計が「解析」や「評価」につながっていく流れについて教えてください。
以前は、試作車を一台つくって検証するのが当たり前だったと思います。
でも最近はその開発の進め方が大きく変わってきていると聞きました。実際はどんなふうに進んでいるのでしょうか。
神澤:そうですね。今は試作車をほとんど作らなくなりました。
ハリアーの開発までは実際にクルマを仕立てて確認していましたが、試作には時間もコストもかかるため、近年はデジタルを使った開発が中心です。
たとえば、VRを使った組付けシミュレーションや、事前の解析による強度・安全性の確認、さらにCATIA上で組付け軌跡をチェックするなど、様々な手法を組み合わせています。
これらを活用することで、以前よりもずっと早く、そして精度高く課題をつぶしていけるようになりました。
競合メーカーの開発スピードも速い中、試作に1〜2か月かけていては追いつけないという背景があり、現在は変わっています。
萱嶋:確かに、今のスピード感を見ると「早く正しく作る」ことは絶対条件になってきていますね。
でも、どうしても「実物じゃないと分からない部分」もあるのでは?
神澤:もちろんあります。衝突試験など、実物でしか評価できない項目は今も必ず行います。
ただ、そこに臨む前に 解析チームが徹底的に検証しています。
長草技術センターの解析チームは、衝突・信頼性・室内安全といった領域を担当していて、解析データを見ながら
「ここまで力を加えると強度が足りない」
「もっと板厚を上げたほうが耐久に余裕が出る」
「見切りの形状をこう変えたほうが剛性が安定する」
といった具体的な改善案を設計につなげています。
この【評価 × 解析 × 設計の三位一体に関わっている】が、TJEの大きな強みです。
解析の結果をそのまま終わらせるのではなく、どう性能を満足させるかを設計者と一緒に考え、形にしていくんです。
萱嶋:その流れがあるから、実車での一発勝負の精度も上がっているわけですね。
そういえば、空調ダクトの解析は TJE が独自に請けていると聞きました。
神澤:はい。ここがまさに 「TJEにしか生み出せない価値」 の象徴です。
TJEでは、「Flo‑EFD(空調解析ソフト)」を自前で導入していて、豊田自動織機さん側にはこのソフトがありません。
そのため空調ダクトに関しては、空気の流れや圧力損失、冷暖房の効率などを可視化しながら最適な形状を導き出せる重要な解析領域をTJEが一手に担っているんです。
空調は、自動運転やEVが進んでも絶対に残る、快適性の核心です。
ここを任されているのは、長草技術センターとしてもTJEとしても大きな強みになっています。
萱嶋:解析から実験、そして改善まで一気通貫で担当している…すごいですね。
試験の現場は緊張感がすごいと聞きます。
神澤: はい。衝突試験は本当に一発勝負です。
やり直しがききませんし、しかもトヨタ自動車さんの試験施設で行うため、手順を誤ると正しいデータが取れないだけでなく、トヨタさんにもご迷惑がかかってしまいます。
そんな緊張感のある環境ですが、豊田自動織機さんのベテランの方にサポートしていただきながら、実際の現場で試験の進め方を学ぶ機会をいただいています。
そして長草技術センターに戻ってからは、その試験結果を解析データと照らし合わせて答え合わせをすることで、理解をさらに深めています。
こうした、
「現場で学ぶ → 戻って解析で確認する → 次に活かす」
というサイクルが、TJEメンバーの技術力を大きく引き上げてくれているんです。
信頼が生み出す役割と業務
萱嶋:長草技術センターのお話を伺っていると、TJEがただ依頼された部分を担当する外部の協力会社というより、豊田自動織機さんと同じチームとして肩を並べて仕事をしている印象があります。
実際の体制はどうなっているのでしょうか。
神澤:TJEは豊田自動織機さんのグループマネージャーの直下に入る形になっています。
たとえばRAV4の内装開発だと、ドライバー席・パッセンジャー席・センター・コンソールという4つのエリアに分かれており、それぞれにチーフがいます。
通常、このチーフは豊田自動織機さんの社員が担当することが多いんです。
萱嶋:そんな中で、TJEがチーフをやっているケースもあるんですよね?
神澤:はい、あります。実際に以前のハリアーの内装開発では、TJEメンバーがコンソールのチーフを務めました。
初期段階は直属の上司はWLだけで、設計の取りまとめをTJE側が担ったんです。
さらに言えば、トヨタのフラッグシップ車のインパネ開発では、TJEメンバーがパッセンジャー席のチーフを担当しました。
萱嶋:それは本当にすごいことですよ。依頼されてやるケースもあるんですか?
神澤:依頼されることもありますが、ハリアー開発では私が自ら手を挙げました。
開発の初期段階から4年間ずっと関わるプロジェクトだったので、「どこをやりたい?」と聞かれた際に、
「コンソールをやりたいです」と直接伝えました。
そしたら「じゃあやってみよう」と言っていただき、TJEとしてチーフを担当する機会をいただいたんです。
萱嶋:TJEメンバーがチーフという重要なポジションを任されているのは、やはり【信頼されている証拠】ですよね。
神澤:本当にそう思います!
豊田自動織機さんの中では「TJEも同じ技術者仲間」として扱っていただいています。
だからこそ、チーフを任せてもらえる、プロジェクトの中心を担わせてもらえる、意思決定にも関われる
といった仕事をいただけているのだと思います。
萱嶋:そういえば、先ほど請負の話が出ましたが、TJEには派遣就業もありますよね。
請負と派遣、それぞれでどんな違いがあるのでしょうか?
神澤:まず請負ですが、TJEとしてまとまった範囲の業務を担当する形です。
具体的には、ボデー(板金)・外装(樹脂)・内装(インパネ・トリム)・図面管理といった領域を受け持っています。
ボデーは「この部分の3Dモデル化をお願いしたい」といった部分的な切り出しの対応や検討業務を担当しています。
外装ではラジエターグリルのような意匠部品を一からTJEで担当します。
内装もインパネ部品の検討を中心に担当していて、長草の請負領域として定着しています。
萱嶋:図面管理も請け負っているんですね。
ただ、図面管理の請負ってイメージが湧きづらいと思うのですが、具体的にどんな業務なんですか?
神澤:図面管理は、設計者が作った図面をトヨタ図・承認図といった形式に沿ってチェックとトヨタ自動車さんへデータ登録する業務です。
方式が複数あって複雑なのですが、これをすべてTJEが担当しています。
豊田自動織機さんの設計者も、「図面の出図処理についてはTJEに聞く」という認識になっていて、よく相談に来られます。
この点でも、TJEへの信頼を強く感じますね。
萱嶋: 請負のお話が非常によく分かりました。
となると、派遣はまた違った動き方になるんでしょうか。では、派遣の場合はどんな働き方になるんですか?
神澤:派遣は、豊田自動織機さんの設計室に直接入り、その中で主体的に動く働き方です。
任される範囲は非常に広くて、人それぞれですが、チーフや号口管理(量産後の不具合対応)、モデルイヤー改良など、現場の判断が求められる中心業務を担当します。
号口管理(量産後の不具合対応)を担当しているメンバーは、ハリアーとRAV4の2車種の号口管理を担当しています。
もちろん対策検討会など重要な会議には上司と一緒に参加することはあっても、日々の判断はそのメンバーが主体で行っています。
チーフを担当すると、仕入先との調整に入ったり、北米拠点との会議に参加して英語でのやり取りを担うメンバーもいます。
任される範囲が広い分、責任も大きいのですが、その分大きなやりがいを感じられる仕事だと思います。
自分が関わった設計が製品となり、量産され、実際に街を走っている姿を見る瞬間は格別ですね!
あるメンバーは、海外旅行中にRAV4を見つけて、「これ、自分が携わった車が走っている所を見て」と感動していました。
こうして、自分の仕事が形になって世の中に出ていくという実感は、請負でも派遣でも変わらない大きなモチベーションになっています。
萱嶋: 皆さんがこれほど責任ある業務を任されているという点に、あらためて驚かされます。
お話を聞いていると、派遣でも請負でもしっかりと成果につながる環境があるんだなと感じます。
豊田自動織機さんから見る派遣就業は、人手不足だから手伝って欲しい、というより、『この領域の即戦力として入ってほしい』というニーズが強いのでしょうか。
神澤:もともとはほぼ即戦力としての依頼でしたね。
ただ最近は、豊田自動織機さん側でも若手が増えてきていて、グループマネージャーと若手の間をつなぐ中堅層が不足しているという課題もあります。
そのため、「TJEさんに中間層の役割をお願いしたい」「一緒に若手を育てていけるのでは」という声もいただくようになってきました。
室(部署)によってニーズは違いますが、TJEへの期待が即戦力だけでなく「育成パートナー」へと広がっていると感じています。
萱嶋:お話を伺って、TJEが本当にクルマ作りを支えるもう一つの車輪になっているのだと実感しました。
請負でも派遣でも、任されている業務の幅の広さが印象的です!
神澤:ありがとうございます。
これからも 「TJEに任せたい」 と言っていただける存在でいられるように、技術も姿勢もさらに磨いていきたいと思います。
教育体制とスキルアップ
萱嶋:次は、人材育成についても聞かせてください。
長草技術センターでは、どのような流れでステップアップしていくのでしょうか。
神澤:まず、キャリア入社の方なのか、新卒の方なのかで入り方が少し変わります。
キャリアの方は、これまでの経験を活かしやすい領域に入っていただきます。
たとえば先日はエンジン部品の経験がある方が入社したため、ボデーのグループに入ってもらい、まずは長草のやり方やツールを覚えるところからスタートしました。
新卒の場合は、基本的にプロジェクトに入りながら覚えるOJT方式です。
座学で準備してから…というよりは、最初から実務を経験しながら、先輩と設計を進めていくスタイルですね。
教育する側は大変ですが、現場で学ぶほうが圧倒的に成長が早いので、今はこの方法を取っています。
たとえば入社1年目は、CATIAで面を貼るところから~合わせ方の理解~部品設計の一部を担当、といった形で、段階的にステップアップしていきます。
萱嶋:段階的にしっかりステップアップできる仕組みがあるのは、本当に心強いですね。
そうなると、座学的に学ぶ機会もあるんですか?
神澤:あります。まず、豊田自動織機さん主催のステップアップ講座に参加できます。
さらに、長草技術センターの請負を中心に独自の勉強会を月に1回実施しています。
萱嶋:独自で勉強会を実施しているのですね。どのような内容でしょうか。
神澤:メンバーが講師となり、効率的なモデリングの仕方や、「こうするともっと効率よくモデリング可能」というCATIAのコマンドなどを若手向けに共有しています。
内容は設計技術だけでなく、設計の考え方や社会の動きにつながる「株や経済」の話など、意外と幅広い内容も扱っています。
設計力だけでなく、視野を広げるための学びも大切にしています。
萱嶋:それは良いですね。法規や材料の知識はどうやって身につけるんですか?
神澤:これらは実務で覚えるのが中心です。
「この塗装部品にはこの材料じゃないと性能満足できない」といった形で、その都度学んでいきます。
法規も同じで、一気に全部覚えるとパンクしてしまうので、必要なときに必要な内容を伝えるようにしています。
私の感覚ですが、一人前になるまでには3年ほどはどうしてもかかりますね。
萱嶋:たしかに、実践しながら覚えるほうが身につきますよね。
神澤:そうなんです。座学で全部仕込んでも定着しにくいので、実践 → 振り返り → また実践という流れを繰り返すのがいちばん力になります。
萱嶋:例えば忘れてしまったという場合、どこかに見に行くことはできるのですか?
神澤:用語集や各種マニュアル、「設計者の考え方」の資料などを整備しています。
それでも分からなければ、周りに気軽に聞ける雰囲気があります。質問しやすい文化が根づいているのも長草の良さだと思います。
萱嶋:なるほど、安心して相談できる環境が整っているんですね。
豊田自動織機さん側のツールを見ることもできるのですか?
神澤:できます。派遣・請負どちらでも、豊田自動織機さんが使っているCATIAの便利ツールやマクロを参照できますし、教育プログラムも受講可能です。
道具も学びの機会も共有していて、まさに一緒に仕事をしているチームという感覚ですね。
萱嶋:同じ環境で学べるのは本当に大きいですよね。成長スピードが全然違うと思います。
神澤:そう思います。別会社という距離感ではなく、豊田自動織機さんと並走しながら成長できる。
これが、長草技術センターで働く大きな魅力の一つです。
萱嶋:どんなスタートでも着実に力を伸ばしていける環境なんですね。
お話を伺って、育成面でもとても安心して働ける体制が整っていることがよく分かりました。
現場とつながる働き方
萱嶋:ところで、長草技術センターは製造現場が近いですが、現場に行くことはありますか?
生産技術のメンバーもセンター内に在席していますよね。
神澤:はい、そうです。まず 生産技術のTJEメンバーが3名いて、工場内のAGV(自動搬送機)や物流の最適化を担当 しています。
工場のレイアウトや搬送ルートを検討しながら、AGVがぶつからないようにクリアランスを調整したり、動きを確かめたり。
とにかく現場で検証する仕事が多いため、1日2万歩くらい歩く日も珍しくないです。
萱嶋:2万歩!思った以上に現場で動いているんですね。設計のメンバーも、現場に行く機会はありますか。
神澤:あります。設計は机の前だけで完結するわけではなく、不具合が出た時には実物を確認しに工場へ行きますし、手加工が必要な部品を取りに行くことも普通にあります。実際にラインで組み付けられている現場を見ることで、 「現場の視点」も大事だと考えています。
萱嶋:設計と製造現場を行き来しながら改善していくんですね。まさに製造現場が近い長草ならではの動きだと思います。
こうした環境の中で、設計内や生産技術のローテーションはあるのでしょうか。
神澤:設計の請負部署ではグループ分けはされていますが、「みんなでやろう」という雰囲気が強いので、いろいろな経験ができる環境は整えています。
たとえば、外装から内装へ異動して経験を広げるといったローテーションはあります。
一方で、生産技術はノウハウの積み重ねが重要な領域なので、ローテーションは多くありません。
ただ、設計から生産技術へチャレンジしたメンバーもいます。最初は思うようにいかず苦労もあったようですが、最終的には大きな成長につながったと聞いています。
萱嶋:お話を聞いて、長草技術センターならではの「現場に根ざした設計」が本当に強みになっていると感じました。
こういう環境なら、確かに設計も生産技術も大きく成長できますね。
職場の雰囲気と環境
萱嶋:話は変わりますが、職場環境について教えてください。
残業や休日出勤はどのくらいのボリュームになるのでしょうか。
神澤:残業は請負だけでいえば平均20時間弱くらいです。休日出勤はなく、基本的に出勤はしていません。
ただ、生産技術に関しては生産ラインが止まっている際に業務を行う必要があり、シフト勤務しています。例えば土曜日に出社した場合は平日にお休みを取ります。
萱嶋:出勤したら、他でお休みを取れるということですね
神澤:はい!もちろんです。
また、長草技術センターでは年次有給休暇カットゼロを目標にしていて、年次有給取得を推奨しています。
請負就業はもちろん、派遣就業も例外ではなく、派遣・請負ともに年休を取得しやすい環境になってます。
数名だけ事情があって取り切れなかった人もいますが、一桁程度。
それくらいしっかり休みを取りつつ、仕事とプライベートを両立できる環境になっています。
また、働き方でいうと、育休を取得するメンバーも増えているのが長草の特徴です。
今は 派遣1名・請負2名の計3名が育休中です。
派遣のメンバーも育休を取得できていて、これは豊田自動織機さんが理解を示してくださったおかげなんです。とてもありがたかったですね。
また、請負の2名は産休・育休を約1年取得していますが、復帰後も長草技術センターに戻れるように業務を調整しています。
復職後に別の仕事に就いたりサポート業務を担当することになる会社もありますが、長草では「また同じ場所でキャリアを続けられる」環境を整えているんです。
萱嶋:それは働く人にとって本当に安心ですね!
キャリアを止めずに続けられる環境があるのは、魅力に感じる方が多いと思います。
ところで、少し興味があってお伺いしたいのですが、皆さん昼食はどうされているんでしょうか。
神澤:昼食は本当にバラバラですね。
食堂で食べる人もいれば、自席でお弁当、2階のフリースペースでゆっくり食べる人もいます。
気分やその日の仕事の状況に合わせて、みんな好きな場所で過ごしています。年に数回グループごとに会社の補助を使ってお弁当を頼んで食べたりもします。
萱嶋:いいですね。場所の選択肢があると気分転換にもなりますし、働きやすさにつながりますよね。
通勤はどうですか?みなさん車が多いのでしょうか。
神澤:車通勤の人もいますが、意外と電車通勤の人が多いんです。
大府駅から送迎バスが出ていて、長草まで約15分。本数も多くて、15分おきに出ているので便利なんです。
車よりもバスのほうがラクという人も結構いますね。
萱嶋:15分おきというのはありがたいですね。
毎日の通勤って積み重なるので、快適さはとても大事だと思います。
車通勤の場合、駐車場はちゃんと用意されているのですか。
神澤:もちろん完備しています。ただ、長草工場は駐車場が他工場より少し遠くて、歩いて10〜15分くらいなんです。
でも、健康のためだと思えばむしろちょうどいい距離だと思います。
萱嶋:なるほど。歩いてリフレッシュできる距離なら悪くないですね。
その距離って、TJEだから遠いわけではなく…?豊田自動織機さんの社員も同じなのでしょうか。
神澤:はい、豊田自動織機さんの社員も同じです。
工場内の敷地を横切る必要があって、だいたい誰でも10〜15分は歩くことになります。
萱嶋:そうなんですね。みんな同じなら、確かにそれはもう「長草の文化」みたいなものですね。
普段のコミュニケーションも気になりますが、懇親会などはどのくらいの頻度で、どんなことをされているんですか?
神澤:コミュニケーションは月1回グループミーティングはもちろんですし、年3回の会社の懇親会補助があるため、各グループごとに実施しています。
また、年1回は長草技術センター全体で、派遣も請負も含めて全員やるってことをここ数年は実施していますね。
そこでコミュニケーションを取ったりをしています。
また、日々のコミュニケーションでいうと、行き先掲示板があるため、帰りがけに名札を裏返す際に、そこで私が一言声をかけたり、「気をつけて帰ってね」という話をしたりコミュニケーションを図るようにしています。
萱嶋:それはいいですね。スポーツなどもあるのですか?全部個人任せなのでしょうか。
神澤:いえ、個人で参加する人もいますが、豊田自動織機さん主催の駅伝や、さわやかリレーマラソンにみんなで参加することもあります。
それに、長草技術センターのメンバーは会社イベントに積極的なんですよ。
サンスタッフヨガクラブも、TJE長草メンバーが自ら講師として立ち上げてくれて、出来たクラブなんです。
萱嶋:いいですね!楽しそうですし、仕事以外のつながりも深まりそうですね。
そういう自主的な動きがあるのは、とても長草らしいなと思います。
神澤:そうなんです。
もう一点付け加えると、長草技術センターのメンバーは「長草でこういう取り組みをしたい」「TJEとしてこういう価値を出したい」「会社としてこういうことをやりたい」と、自分たちから提案してくれる人が本当に多いんです。
萱嶋:そうした仕事以外のつながりや、自分たちから企画して動く姿勢が本当に長草らしいですね。
働きやすさだけでなく、「一緒に成長していける仲間がいる場所」という雰囲気がよく伝わってきました!
将来の展望と人材育成
萱嶋:ここまで伺って、長草技術センターには技術面でも働く環境でも魅力が詰まっていると感じました。
最後に、これからの長草技術センターがどんな未来を目指しているのか。そしてどんな人財を育てていきたいのか、教えてください。
神澤:まず前提として、いま自動車業界は『100年に一度の変革期』を迎えています。
欧州で掲げられていたカーボンニュートラルの流れもあり、EV一色と言われていましたが、結果的にはEVだけではなく、ハイブリッドや水素、さまざまな燃料が共存していく時代になりそうです。
そんな中で、TJEとしては「TJEにしか出せない価値をもっと増やしていく」という思いがあります。
私自身、トヨタ自動車で働いていた経験があるため、業界全体の動きも理解していますが、豊田自動織機さんには本当に優秀な人が多いんです。
だからこそ率直に言うと、もっと開発車種を受託できるはず、「そしてもっとTJEとして強く貢献できる」と感じています。
萱嶋:お話を伺っていると、長草技術センターとしての強みや可能性がどんどん広がっていくように感じます。
長草としての技術の方向性はどこにあるのでしょうか。
神澤:たとえば空調・快適性に関わるインパネ領域は、クルマがどう進化しても絶対に残る部分です。
自動運転でハンドルやメーターがなくなる未来でも、空調はなくならない。
だから、この領域はこれからも強みとして磨き続けたいです。
また、デジタル開発の精度向上、効率的なやり方の追求など、少人数でも高い成果を生み出せるチームを目指していきたいですね。
萱嶋:長草技術センターのこれから目指していく方向性が、とても明確に伝わってきました。
人財育成という側面では、どんな未来を描いていますか?
神澤:長草技術センターは実践で育つ環境が強みですが、NE推進センターと協力しながら育成の仕組みをさらに強化していきたいです。
萱嶋:現場で培われてきた文化を土台に、さらに育成の仕組みも磨いていこうとしている姿勢がとても心強いですね。
技術だけでなく、文化として自走する姿勢が根づいているのも印象的です。
神澤:その通りです。先ほど話をしたように、長草技術センターには、「こうしたい」「こう改善したい」「こんな価値を出したい」と、自ら手を挙げるメンバーが多いんです。
そして、これは私自身ずっと思っていることですが…
長草技術センターが一つになったら、豊田自動織機さんに負けないぐらいの技術力を発揮できると本気で思っています。
それくらい、TJEには知識と経験が豊富な頼もしいメンバーがたくさんいます。
だからこそ私は、「もっとTJEに任せたい」と言われる存在になりたいと思ってます!
もちろん簡単ではありませんし、越えるべき課題がたくさんあります。
でもそれを目指す価値があるし、挑戦し続けたいと思っています。
萱嶋:未来のクルマづくりに本気で向き合い、仲間と一緒に成長しながら、大きな目標に挑戦していく
長草技術センターの未来がとても鮮明にイメージできました。
今日は本当にありがとうございました。豊田自動織機さんにはもっと車両を取ってきて欲しいですね!
私自身も、これからより一層力になれればと思います。ありがとうございました!
最後に・・「長草技術センターの魅力」とは
萱嶋:では最後に、エンジニアとして長草技術センターで活躍を目指す方に向けて、長草技術センターの魅力を教えてください。
神澤:長草技術センターの魅力は、車両開発の核心に深く関われることです。
RAV4・ハリアーなどトヨタの主要SUVの設計から解析、試験、図面管理、生産技術まで幅広く担当し、若手のうちから「任される設計」を経験できます。
豊田自動織機の100%子会社であるTJEだからこそ、他の派遣会社にはないレベルで車両全体を考えながら設計できるのも大きな強みです。
また、豊田自動織機さんと技術面で同じ立場として扱われ、チーフや号口管理など、社員同等の裁量を任される場面もあります。
請負でも派遣でも、成果に直結する経験ができるのは長草ならではです。
働きやすさの面でも、年休カットゼロを目指す文化や、派遣でも育休取得が可能な体制、産休育休後も長草に戻れるキャリアの継続性があります。
イベントや勉強会など、自主的に動く文化も根づいており、仲間とともに成長できる環境が整っています。
将来的には、長草全体の力を結集し、「TJEに任せたい」と言われる技術集団を目指しています。
こうした挑戦に心が動いた方は、ぜひ仲間として長草の未来をつくっていきましょう!
萱嶋:今日はありがとうございました。
私も改めて長草技術センターの魅力や車両開発の流れを深く理解できて、とても楽しい時間でした!