高浜技術センター 玉木センター長 対談

技術で現場の課題に応える-高浜技術センターの技術と挑戦-

 

「現場に寄り添う設計力」

そんな言葉がぴったりの高浜技術センター。
今回は、センター長の玉木さんに、高浜技術センターの仕事や組織の魅力について、じっくりとお話を伺いました。


技術センターの役割と製品

萱嶋:まずは、高浜技術センターについて教えてください。
どのような製品を扱っていて、具体的な仕事内容はどのようなものですか?

玉木: 高浜技術センターでは、主にフォークリフトの設計を担当しています。電動車、エンジン車、自動搬送機など、種類も用途も多岐にわたります。さらに、生産技術の分野では、シューターと呼ばれる搬送装置の設計も行っています。
仕事の流れとしては、エンドユーザーからの要望が販売店を通じて豊田自動織機さんに届き、そこから私たちが請け負う形で設計業務を進めています。

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萱嶋:どういった内容の仕事を請け負っているのですか?

玉木:主に特型設計といって、カスタマイズ設計です。ユーザーの工場の使用環境がお客様によって異なるため多岐にわたるニーズに設計に答えることが業務です。
つまり、ユーザーの現場で起きている課題を、私たちが技術で解決していくという役割を担っているんです。

萱嶋: ユーザーのニーズに直接応える設計なんですね。まさに『現場に寄り添う設計力』が求められる仕事ですね。

玉木:はい、まさにその通りです。現場に寄り添う姿勢こそが、私たちの設計の強みだと思っています。


特型設計の奥深さと対応力

萱嶋: 特型設計って、かなり経験が必要そうですね。どんな組織体制で対応しているのですか?

玉木: 仰る通り、豊田自動織機さん側も経験値が必要な部門であると思っており、ものの設計だとそのもの自体に特化すれば良いのですが、フォークリフトの設計の場合は車両全体を見るため、板金・溶接・回路・ハーネスなど多岐にわたる分野の知識が求められます。幅広い分野の知識が求められるため、現場での経験が非常に重要です。


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萱嶋:特型設計は全てTJEに依頼が来るのですか?

玉木:豊田自動織機さんも設計を行っていますし、他にも私たちのような協力会社が数社あります。その中でもTJEが一番規模が大きいです!
背景として豊田自動織機さんとは20年以上にわたる協力関係があり、長年にわたって信頼と実績を積み重ねてきました。だからこそ安心して任せていただけているのだと思います。

萱嶋:そうだったのですね、それは嬉しい驚きです。長年にわたって信頼と実績を積み重ねてきた関係があるからこそ、豊田自動織機さんから頼りにされているんですね。
特型設計についてもう少し詳しく教えてください!車両全体を自由にカスタマイズできるようなイメージで合っていますか?

玉木: そのイメージで間違いありません。もちろん法規制の範囲内ではありますが、かなり自由度の高い設計が可能です。例えば、「このオプションのランプを付けたいけれど、標準の位置だと工場の天井にぶつかってしまう」といった要望があれば、ランプの位置を変更するだけでなく、ブラケットの設計や配線の取り回しまで含めて提案します。

萱嶋:そこまで細かく対応されているとは驚きです。 強度計算なども含めて対応されるのでしょうか。

玉木: はい、もちろんです。取り付け位置が変わることで、車両の構造にどんな影響があるかを事前に解析し、強度計算を行います。単なる“位置変更”ではなく、車両全体の安全性や機能性を考慮した設計が求められるんです。こうした対応には、専門的なノウハウが不可欠です。

萱嶋: なるほど、設計変更にはかなりの専門性が求められるんですね。
それだけの対応をされているとなると、高浜技術センターには何人くらいのエンジニアがいるんですか?

玉木: 現在、高浜技術センターには、構内請負および派遣就業のメンバーを含め、約50名のエンジニアが在籍しています。
特型設計を中心に、さまざまな業務に携わっています。派遣就業メンバーは、販売店との直接のやり取りや、現場での不具合対応など、よりエンドユーザーに近い立場で仕事をしています。

萱嶋: 改めて豊田自動織機さんの中での存在感と信頼の大きさを感じますね。
新入社員の方は、入社後はまず構内請負からスタートするのでしょうか。

玉木: そうです。まずはセンター内で基礎をしっかりと学び、設計の流れや製品の構造を理解してから、派遣先での業務に移ります。

萱嶋:現場での経験を積むことで、より広い視野を持ったエンジニアへと成長していけるようにしているのですね。

玉木: はい!さらに多くの経験を積みながら新しい挑戦にも取り組めるよう、私たちもバックアップしています。


職場の雰囲気と環境

萱嶋:高浜技術センターには、いくつのグループがあるんですか?

玉木:現在、設計グループとしては5グループあります。 

萱嶋:それぞれに特徴があるんですか?

玉木:はい。電動車を扱うグループ、エンジン車を担当するグループ、そして特殊な設計を行うグループなどがあります。特殊なグループでは、車両本体ではなく、マストやフォークなど前側の構造に特化しています。


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萱嶋:エンジン車やマスト・フォークなどは、特型設計のニーズが高いんですね。

玉木:そうです。ニーズが高いです。

萱嶋:職場の雰囲気はどうですか?

玉木:実際に他センターの方が来られると、「落ち着いた職場ですね」と言われることがあります。
それだけ集中して仕事に取り組んでいる環境なんだと思います。
でも、仕事を離れると釣りに行ったり、ボウリングやキャンプを楽しんだりと、外ではけっこうはじけていますよ。

萱嶋:事務所の環境はどんな感じですか?豊田自動織機さんも同じフロアにいるんでしょうか?

玉木:いえ、人数が多いこともあって、現在はTJEだけで1フロアを使っています。豊田自動織機さんも他の協力会社さんも同じフロアにはいません。

萱嶋:そうなんですね!意見交換などはどうなんでしょうか。

玉木:落ち着いた職場ではありますが、意見を出しにくい雰囲気かというと、そうではないです。年代もバラバラですし、いろんな意見を聞きながら進めないと仕事が成り立たないので、意見交換は活発に行っていますよ。


教育体制とスキルアップ

萱嶋:高浜技術センターに配属された後の教育体制について教えてください。

玉木:基本的には、先輩社員のOJTのもとでサポート業務からスタートします。まずは図面を描くところから始まり、徐々に設計変更や部品票の作成、仕様の読み解きなど、段階的にスキルを習得していきます。

萱嶋:独り立ちは何年目くらいからですか?

玉木:個人差はありますが、半年から1年ほどで、サポートを受けながらも一人で業務を完結できる人材を育てることを目標にしています。


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萱嶋:OJT以外に座学的な教育もあるのですか?

玉木:はい。豊田自動織機さん主催の教育や社外研修に加えて、高浜技術センター独自の教育も実施しています。専門的な内容を配属後に学べるようにしています。

萱嶋:研修室との連携もあると聞きましたが?

玉木:そうですね。研修室と連携して、高浜技術センターの実務に即した教育を行っています。研修室では実際に高浜の業務を一部担当している人もいるので、リアルな業務の流れを見ながら学べる環境です。

萱嶋:CADは何を使っているのですか?

玉木:CATIAです。研修室で基礎を学び、実務に近い搭載検討なども経験してから配属されるので、スムーズに業務に入っていけます。

萱嶋:高浜技術センター独自の勉強会についても教えてください。

玉木:ハーネスや溶接に関する勉強会を定期的に開催しています。特型設計は経験値がものをいうので、「仕事の進め方」をテーマにした勉強会もあります。

萱嶋:ハーネスは特に難しいと聞きますが?

玉木:はい、特に電気は目に見えないのでイメージしずらいですね。機械設計のメンバーが回路図を見ても「なんだこれ?」となることがあります。ハーネスの取り回しや結線方法、量産品の回路図を見ながらの検討など、かなり奥が深いです。

萱嶋:リフトだと空間があるから自由に通せそうな気もしますが、実際はどうですか?

玉木:スペースはあるように見えても、天井やピラーの構造、可動部の存在などで制約があります。耐久性や安全性、コストも考慮しながら設計する必要があります。

萱嶋:耐久性が求められますね。
線を通すだけでなく、ノウハウというか気を遣うところですね。経験値がものをいいますね。

玉木:そうですね。どんな特性を持ったハーネスを通すのかもありますし、量産品に新たな経路を追加するのか、量産品の経路を維持しつつ量産品の回路に割り込ませて増設していくのかなど腕の見せ所ですね。奥が深いです。

萱嶋:それは安全性、耐久性、当然コストもありますよね。実務に即した教育と、経験を重ねてこそ身につく設計の奥深さがよく分かりました。


働きやすい職場づくり

萱嶋:次に、高浜技術センターの独自の取り組みや、働きやすい職場づくりについて教えてください。

玉木:まず、月に一度「定時退場日」を設けています。これは豊田自動織機さんも同様に実施していて、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。

萱嶋:年次有給休暇の取得についてはどうですか?年5日以上の取得義務がありますが、何日取ってくださいといったルールはあるんですか?

玉木:厳密なルールは設けていませんが、月に1回以上は年休を取ろうと、メンバーには積極的に働きかけています。業務進捗を日々管理しているので、計画的に休みたい人も、突発的に休まないといけない人も、柔軟に対応できるようにしています。

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萱嶋:業務の都合をみんなで合わせて調整しているんですね。とても良いですね。他にも取り組んでいることはありますか?

玉木:業務がやりやすいように、同じような仕事をしている人が近くに座るように配置しています。ベテランと若手の席の位置、女性への配慮、喫煙者と非喫煙者の距離など、細かいところまで気を配っています。


情報共有とコミュニケーション

萱嶋:情報共有やミーティングはどうされていますか?

玉木:業務進捗管理は毎日共有しています。朝礼や昼会で情報交換を行い、グループ間の交流は月1回、さらに室間の交流も月1回実施しています。

萱嶋:豊田自動織機さんの動きや工場内のイベント、TJEとしての情報など、二つの視点があると思いますが、それらはどう展開しているのですか?

玉木:TJEの派遣就業者から情報をもらったり、織機の情報共有会にも参加しています。そこから得た情報を朝会や昼会で展開しています。

萱嶋:困りごとを聞く場はありますか?

玉木:都度都度ですね。「こうした方がいいんじゃないか」といった意見を取り入れて、次回はこうしてみようと改善しています。身近なことだと会議の時間帯や場所も柔軟に調整しています。

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萱嶋:仕事の改善活動は全員参加ですか?

玉木:はい、ヒューマンエラー対策などは全員で集まって話し合います。「こうした方が早い」「効率的だ」といった意見もグループ単位から全体まで細かく取り入れています。

萱嶋:月の平均残業時間はどれくらいですか?

玉木:繁忙期もありますが、平均すると月20〜30時間程度です。

萱嶋:休日出勤はありますか?

玉木:基本的にはありません。私も推奨していませんし、やらせていません。ただ、派遣就業の場合は現場やお客様の都合で発生することもありますが、それは本当にまれです。もちろん残業時間としてきちんとつきます。


レクリエーションと職場のつながり

萱嶋:職場のコミュニケーションという点では、ボウリングの話が出ていましたが、定期的に開催しているんですか?

玉木:はい、定期的に開催しています。懇親会もつい先日やりました。レクリエーション係がいるため、その方を中心に運営されています。

萱嶋:年間の恒例行事はありますか?

玉木:年2回の全体懇親会があります。夏にはBBQやキャンプ、釣りなどの小規模イベントもやっています。バスツアーもやりたいねという話が出ています。

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萱嶋:スポーツ活動はありますか?

玉木:豊田自動織機さんからバスケットボールに誘ってもらっていて、体育館を使って月1〜2回ほど活動しています。やりたい人が自由に参加しています。

萱嶋:豊田自動織機さんとの関係も、仕事だけでなく仲間として受け入れられているんですね。

玉木:そうですね。レクリエーションにも呼んでいただいていますし、良い関係が築けています。


将来の展望と求める人財

萱嶋:高浜技術センターとして、今後どのような方向性を描いているのか、人員体制の強化や注力していく技術領域について教えてください。

玉木:自動化や電動化に加え、安全性向上のためにAI技術の導入も進んでいます。そうした分野に知見のある方や、共に学びながら成長していける方と一緒に、時代の変化に対応できる体制を築いていきたいと思っています。

現在、具体的には以下のような取り組みを進めています。

1.自動化
自動運転機能が搭載されたフォークリフトが増えています。
これにより、単純な操作だけではなく、効率的かつ安全な作業が可能となり、工場内での導入が進んでいます。

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2.電動化
環境意識の高まりに伴い、ガソリンやディーゼルエンジンフォークリフトからリチウムイオン電池を利用した電動フォークリフトへの移行が進んでいます。
電動化により、騒音の低減、CO2排出削減の観点からユーザーからの需要も高くなっています。

3.安全性向上
世の中では、AIなどを活用した衝突防止システムや、作業者の周囲監視機能が増加している昨今、
フォークリフトでも事故防止の技術が進化しより高い安全性を実現するための仕組みづくりを進めています。

玉木:自動化を進める上で、安全性も同時に確保しないといけないんです。最先端の技術を扱うことになるので、自分の設計した通りに動いたときの達成感は格別ですね。

萱嶋:豊田自動織機さんも今後更に「モビリティ」を強化していくと言っていたように、環境性能や自動化が進む中で、センサーや制御機器がどんどん増えてきていますよね。リフトの形も変わる可能性があるし、部品の配置も難しくなってきているのでは?

玉木:おっしゃる通りです。部品点数が増えると、センサーの配置や他の部品との兼ね合いが非常に重要になります。意匠に関わる部分以外は基本的に豊田自動織機さんから任せてもらっているので、「このセンサーをつけたい。あとはお任せします。」という感じで、自由度が高い設計ができるのも魅力です。

萱嶋:それはエンジニアとしてはやりがいがありますね。今後、センサーの取り回しや設置場所の工夫がますます重要になってきそうです。

玉木:そうですね。だからこそ、「このセンサーって何のためにあるんだろう?」と疑問を持てるような、好奇心のある人に来てほしいです。「やってみたい」「挑戦してみたい」と思える人が活躍できる職場です。言われたことをただこなすだけでなく、自分で考えて工夫できる人には、すごくやりがいのある環境だと思います。


最後に・・「高浜技術センターの魅力」とは

萱嶋:では最後に、エンジニアとしての活躍を目指す方に向けて、高浜技術センターの魅力を教えてください!

玉木:高浜技術センターは、フォークリフト業界の最前線で「自動化」「電動化」「安全性向上」といった進化を支える設計を担っています。
技術の進歩が著しい今、私たちは常に新しい知識を吸収し、挑戦し続ける姿勢が求められます。
その分、日々の業務を通じて自分自身の成長を実感できる環境が整っており、エンジニアとしてのやりがいは非常に大きいです。

特に魅力的なのは、自分が設計に携わった製品が実際に現場で活躍する姿を目にできること。「自分の仕事が社会の役に立っている」と実感できる瞬間が、ものづくりの醍醐味であり、私たちの誇りです。

 

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また、豊田自動織機さんと密に連携しながら設計を進めることで、最先端の技術に触れながら、より実践的で高品質なものづくりに携われるのも大きな魅力です。

現場に寄り添い、課題を技術で解決する―― そんな仕事に興味がある方、ぜひ一緒に未来のものづくりを支えていきましょう。

萱嶋:今日はありがとうございました。私も改めて高浜技術センターの魅力を深く理解できて、とても楽しい時間でした!